ALS Never Surrender Foundation

不治の病の治療法発見につながるように、ALS の患者がカスタム App を作成して研究チームを支援

ビデオを見る

「残念ですが、あなたは ALS に冒されています。」

概要

  • ALS 研究チームが患者の病状の経過データの収集と臨床試験を実施する方法を大きく変えようと決心し、シチズンデベロッパーであるステフ・コーディン氏は、FileMaker プラットフォームを使用したカスタム App を作成しました。

業種

  • 医療/医療サービス、NPO

ソリューション

  • インフォームドコンセントのフォームを備え、毎日、各患者から 80 以上のデータポイントを収集するカスタム App を構築しました。

メリット

  • 現在、世界中の研究チームがリアルタイムでビッグデータにアクセスして研究したり、飛躍的に増加する病状の進行データを利用することができます。
ALS patient creates custom app to help research teams find cure for fatal disease 1
サンディエゴのミーティングで、ALS の経過を研究するためのカスタム Appである「ALS eNGAGE」を提案するステフ・コーディン氏

医師の言葉が頭の中で鳴り響きます。ステフ・コーディン氏はショックのあまり身じろぎひとつできませんでした。妻のステーシーさんが彼の手を握り締めます。コーディン氏は数か月前から全身が震えるようになっていました。震えが次第に強くなっていることには気付いていましたが、このような衝撃的な診断結果は全く予想していませんでした。

この病気に冒されると神経と筋肉の機能が損なわれ、やがて死に至ります。ALS (筋萎縮性側索硬化症) 患者のうち、診断を受けてから 5 年後まで生存できるのはわずか 20% です。

コーディン氏は咄嗟に考えました。半年後の生活は一体どうなるのだろうか?1 年後は?

動揺したコーディン氏は、今後数か月のうちに発話能力、呼吸、運動能力にどのような変化が予想されるか尋ねました。

「時間が経たなければわかりません。」と、医師は答えました。「進行は人によって違います。ALS の場合、全く同じ経過が見られることなど実際にはありません。」

その回答はコーディン氏にとって恐ろしく、ショックを受けました。

「データは私の体の中にあるのです。」と、コーディン氏は言います。「私は確信しました。これから診断を受ける患者がもっと明確な回答を得るための方法が必要なのだと。」

ALS patient creates custom app to help research teams find cure for fatal disease 1
UCSD(カリフォルニア大学サンディエゴ校)からの研究アシスタンントが、ステフ・コーディン氏の説明を受けながら、カスタム App のベータ版を検証

新たなミッション

コーディン氏は、この病気に関する情報と、それが人体をどのように蝕んでいくのかについて調べ始めました。やがて、1990 年代前半から医師と研究チームが主観的検査を実施して病気の進行を追跡していたことがわかりました。この調査はおおむね 3 か月か 4 か月ごとに検査機関で実施されていましたが、週単位または月単位で記録した検査情報を進行の度合いを調べるためのバイオメトリックの指標として考慮することができていませんでした。

さらに研究チームには、大規模な研究のためにボランティアを募集したり、大規模な研究グループのデータを共有したりするためのシームレスな方法がありませんでした。

コーディン氏はこうした状況を黙って見ていることができず、患者中心のアウトカム研究 (PCOR) ツールの開発を支援するために非営利団体 ALS Never Surrender Foundation を創設しました。そして主要な ALS 研究者や支援者と関係を築き始め、思い描く研究ツールの開発をサポートできるプラットフォームを探しました。

最終的にコーディン氏が選んだのは FileMaker プラットフォームでカスタム App を作成することでした。この高速アプリケーション開発プラットフォームは 30 年以上もの間、世界中の問題解決者に活用されてきました。

「不治の病に対処するには、時間がとても重要です。」と、コーディン氏は言います。「FileMaker プラットフォームはシンプルで価格も手ごろです。カスタム App を作成するために新たにコーディング言語を習得する必要はありませんでした。私が作成した カスタム App は、iPhone、Web、Mac でシームレスに動作します。いずれは Android デバイスでも動作するようになるでしょう。」

コーディン氏は患者と研究者の両方のために直感的なユーザエクスペリエンスを概念化して、それを現実のものにしました。また、ジョージアサザン大学の学生開発者と共同で Xcode を実装し、カスタム Appが iPhone デバイスのセンサーにアクセスして重要なデータを収集できるようにしました。たとえば、ジャイロスコープを使用して身体の可動域を測定する一方、マイクで声の強さを測定するのです。他の重要なバイオメトリックの指標や遠隔測定の指標には、力、持久力、歩き方とバランス、手先の器用さ、音声パターンがあります。

3 か月もたたないうちにカスタム App の骨組みが完成しました。

「ALS eNGAGE と名付けたこのカスタム App では、毎日 80 以上のデータポイントを記録して進行を分析します。」と、コーディン氏は言います。「かつての研究チームは通例、患者が診断されてから死に至るまでの間、1 人あたりわずか 240 のデータポイントしか収集していませんでした。ALS eNGAGE を使用すれば、研究者が収集できるデータポイントは飛躍的に増えます。同じ期間に 116,000 ものデータポイントを収集することができるのです。」

最終的には、FBA (FileMaker Business Alliance) パートナーである iSolutions社と協力してデータが自動的に同期されて中央リポジトリに保存されるようにしたため、世界中の ALS 患者を包括的に把握できるようになりました。

医療の研究プロトコルのために重要な点は、ALS eNGAGE にインフォームドコンセントが組み込まれていることです。カスタム App をダウンロードする患者は、理解度をテストしてから研究に参加して自分のデータを共有する必要があるのです。

また、ユーザの個人情報とユーザが送信しているデータとのつながりをわからないようにする globalID や、FileMaker Server 上で共有されるデータの暗号化により、患者のセキュリティを一層確実に守ることができます。

さらに、カスタム App は FileMaker プラットフォーム上で作成されるため、データ分析、ソート、レポートを素早くシームレスに実行することができます。

ALS patient creates custom app to help research teams find cure for fatal disease 3

結果

このカスタム App はまだベータ版ですが、患者を治療したり、リアルタイムで大規模な患者データを研究したりするために利用できるので、医療の専門家や薬剤の研究チームにはとても好評です。

「理学療法士の立場から言うと、このようなカスタム App は、患者の力や動きやすさが時間と共にどう変化するかをおおまかに把握するために非常に有用だと思います。」と、UCSF (カリフォルニア大学サンフランシスコ校) メディカルセンターの理学療法士であり、ベータテスターであるキャサリン・プリンツ氏は述べています。「(このカスタム App を使用すると) 患者の治療計画に修正が必要になるときを予測して、あらかじめ適切に修正しておくことができます。」

いずれは研究チームが機械学習を利用して、カスタム App で発見したことに基づいて ALS の進行の予測モデルを生成できるようになるかもしれません。このカスタム App が導入されることで、病気を撲滅する医薬品がより早く認可されるようになることがコーディン氏の願いです。

「私たちの作り上げてきたものが患者に力を与え、無力感を覚えないようになることを願っています。」とコーディン氏は述べています。「どうすることもできない状況をコントロールできるように人々を支援すれば、つらい時間に耐えることが容易になります」

このカスタム App についてさらに詳しくは、ALS eNGAGE (英語) をご覧ください。

ファイルメーカー社へのお問い合わせはこちら

Close

ALS Never Surrender Foundation