韓国 国立がんセンター (NCC)

大量の紙と Excel のデータ管理に悩まされていた言語聴覚士が、FileMaker の甲状腺疾患管理システムを構築。iPad により業務効率が飛躍的に向上。

患者に紙アンケートを提供して回答をもらい、Excel で再入力。入力ミスも頻繁に発生し、時間もかかる作業だった。FileMaker プラットフォームで構築した甲状腺疾患調査管理システム“Thyroid Survey System”により、症例登録作業効率が大幅に向上した。

韓国 国立がんセンター

施設概要

  • 韓国 国立がんセンター(NCC)は、2000 年に設立された。研究、患者ケア、教育訓練、国家がん対策プログラムの支援を通じて、がんの発生率と死亡率の低減、国民の健康と福祉の向上に努めている。韓国の中でも最高の医師と最新の取組みを実施する施設として注目されている。

業界

  • 医療

ソリューション

  • 国立がんセンターに勤務する医師:Yu Chang Hwan(ユー・チャンハン)氏と、言語聴覚士 Ryu Yon Mi リュー・ヨンミ氏は、長年続けてきた Excel による入力とデータの管理に限界を感じていたが、患者の視点から治療状況を比較し、さらに甲状腺の手術前後のデータと画像を論文に記録することによって医療の進歩に寄与することを目指し、FileMaker のカスタム App を導入した。:国立がんセンター甲状腺疾患調査管理システム : Thyroid Survey System

利点

  • 開発の 90% を院内で行い、コストが抑えられた上、入力補助機能によって、人的ミスを大幅に減少し、業務管理の効率アップにつながった。

システム構成

  • FileMaker Pro 20 台・FileMaker Go 8 台・FileMaker Server 1 台
国立がんセンター(NCC)
甲状腺がんセンター専門医
Dr. Yu changHwan(ユー・チャンハン医師)

「Mac ユーザの医師が選んだのは FileMaker」

Dr. Yu changHwan(ユー・チャンハン医師)は、数年前 1,000 名以上の患者症例データを検討しなければならない状況に置かれていた。Mac ユーザとして Excel 以上のデータ管理ができるソフトウェアを探していたところ、FileMaker という製品があることを 2012 年に知った。早速購入して利用してみると、簡単にレイアウトの作成やフィールドの追加ができ、自分で好きなように画面設計ができることがわかった。2016 年、同じ部署で大量のデータを Excel で管理していた言語聴覚士 Ryu YonMi リュー・ヨンミ氏が、横長の Excel 画面に苦労しているのを見て、FileMaker の存在を伝えたところ、リュー氏は早速 FileMaker 社に電話をし、ソウルで定期的に開かれている iOS ハンズオンセミナーを紹介された。2016 年 8 月に国立癌センターから 5 名のスタッフがセミナーに参加した。Excel データをドラック&ドロップで FileMaker に取り込み、約 3 時間で iPad 上で動作する業務アプリが作成できるという体験をし、自分達が今まで作業してきた業務の様々なシーンで FileMaker の活用による省力化ができることを実感した。




紙と Excel で管理してきた症例登録業務のデータ約 1 万件を FileMaker プラットフォームに移管して一元管理。

甲状腺の手術後には、患者の QOL (Quality of life) 向上が欠かせない。手術前後の検査では、単に音を発声できるできないの判断だけではなく、定量分析・定性分析を行なっている。定量分析では、専用の装置を使い、発声周波数を計測して治療成果を数値で評価している。例えば男性の声は平均 100Hz、女性の声は 200Hz というような高音・低音などの変化を記録する。定性分析では、患者に対して、発声の長さや、歌を歌ったときの音声の出しやすさなどを記録している。記録する内容は 100 項目以上にのぼり、患者が理解し評価しやすいように回答を簡易化する必要があるものから、医療者として記録しなければならない正確な数字に再計算して記録する内容のものまで多岐に渡っている。さらに一人の患者に対しても、何度も検査記録が行われるため、紙の記録用紙が膨れ上がり、Excel にデータ入力するたびに、病院の倉庫に紙を保管するという状態だった。しかも、検査に来院する患者は月に 100 名を超えることもあるという。検査記録のために多くの時間を費やしていた事になる。そのような状況の中で、2016 年 8 月から FileMaker への移行プロジェクトが開始された。




国立がんセンター(NCC)
言語聴覚士
Ryu YonMi(リュー・ヨンミ)氏

院内開発された Thyroid Survey System システムと iPad の導入によって、業務の効率化および管理の簡素化につながっただけでなく、論文データの礎を築くことに成功。

FileMaker 社が提供する無料の App Store アプリ FileMaker Go を iOS ハンズオンセミナーで体験しアプリを構築した言語聴覚士 Ryu YonMi リュー・ヨンミ氏は、バーコード機能がボタン一つで自分のアプリに組み込めることを体験し、早速患者 ID 8 桁の手入力を全てバーコード化し、毎回の手入力から解放された。

患者カードのバーコードを iPad のカメラでスキャンしてアンケートを開始

検査の流れは、まず患者に iPad を手渡しアンケートへの回答を依頼する。ここでは、患者の状態に応じて、異なる質問のアンケート内容が提供される。これにより、紙への記載・Excel へのデータ転記時間が省略されただけでなく、入力ミスも防ぐことができる。さらに FileMaker 内に作成された計算フィールドにより、患者の入力した値の裏側で医療者に必要な数値に再計算されて保存される仕組みも取り入れ、情報入力の正確性も向上した。回収されたアンケート情報は、その場でチャートに視覚化され、アンケート内のドメイン別内容も確認できる。データベース化されたことにより、各質問項目ごとに、その質問に関する時系列の変化も見られるように作成することができ、この結果を医師が必要とする医療記録にも簡単に転記できるようになった。

アンケートの種類に応じて、回答項目の数が流動的に変わる
アンケートの種類別の主要な項目スコアグラフ
訪問日付別、タイプ別スコアグラフ

コンピュータが得意ではない院内スタッフが、エンジニアでもないのにデータベースアプリを作成できた理由

NCC に勤務する言語聴覚士は、患者の QOL を最優先に考えて治療と検査にあたっている。このため、Ryu YonMi リュー・ヨンミ氏は、苦手なコンピュータを学ぶことに挑戦した。通常、データベースアプリを開発するには SQL 言語が欠かせないが、FileMaker では開発言語を学ぶ必要がない。学ぶ必要があるのは、どのようなフィールドを作成し、患者さんに分かりやすい言葉でラベルを付け、そのレイアウトがどの順番に配置されていると現場で効率が上がるのかを考え、作ることである。そこで、この作業を開発会社に外部委託するのではなく、内製(インハウス)開発で行うことに決めた。

FileMaker 社主催のハンズオンセミナー参加で、自分達でもできるという実感を得ても、複雑な計算式や自動スクリプトを作り込む場合、試行錯誤して失敗したりすると時間が無駄になってしまう。そこで、FileMaker 認定パートナー (FBA)でトレーニングを提供している Didim Solution に、NCC での毎月の訪問トレーニングと電話サポートを依頼した。Didim Solution で FileMaker エンジニアとして勤務している ParkTaeWon(パク・テウォン)氏は、毎月の訪問トレーニングで Ryu YonMi(リュー・ヨンミ)氏をサポートし、インハウス開発を支援した。当初は戸惑いもあったが、始めて 3 ヶ月で最初の必要機能は完成させてしまったという。Park TaeWon(パク・テウォン)氏によると、現在稼働している Thyroid Survey System は、甲状腺分野の専門用語の塊であるため、実に 90% は Ryu YonMi(リュー・ヨンミ)氏が作成してきたものだという。

今後の展望

Dr. Yu changHwan(ユー・チャンハン医師)- FileMaker は、現時点では、音声の検査結果と、アンケートのシステムに利用していますが、まだまだ活用できるシーンが多く存在しています。特に論文分類や検索には時間がかかっているので、これを FileMaker で処理していきたいと考えています。
また FileMaker プラットフォームでは、医療従事者が即時にカスタマイズできる特性から、他の医療機関や研究機関とも協議しながら連携して開発することで共同でのデータ運用や活用ができ、症例収集にも貢献していくのではないかと思うので、他施設でも FileMaker ユーザが増えてくれることを願っています。

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