株式会社ネクスコ・メンテナンス東北

遠く離れた場所でメンテナンス業務に取り組む高速道路の作業員や清掃員。現場からスピーディーに状況を報告し、リアルタイムで情報を共有するために、FileMakerとiPadは最適な選択だった。

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広範囲に及ぶ高速道路の維持管理業務を支えるFileMakerベースのカスタム Appがタイムリーな情報共有とペーパーレスによる業務改善を実現

iPadで動作するカスタム Appによる情報共有が、高速道路の利用者とそのために働くスタッフに、安全、安心、快適、便利をもたらす

株式会社ネクスコ・メンテナンス東北

  • 十和田事業所
    秋田県鹿角市十和田錦木字赤沢田19
    東北自動車道 十和田インター内

業種

  • 高速道路の維持保全業務

概要

  • 同社は、清掃員安全管理システムや安全巡回記録システムなど、8種類のシステムを備えたカスタムAppをFileMakerプラットフォームで構築し、iPadで運用。SA・PAの清掃員はこのカスタム Appを使って出退勤をiPadで報告。清掃などの作業状況や日報もiPadで入力している。維持保全業務の現場では、安全チェックリストの確認と報告をカスタム Appを使ってiPadで実施。iPadの内蔵カメラを起動して報告書に写真を添付している。その情報は即座に関係者全員で共有できる。各自が現場でiPadから入力したデータはiPadの携帯電話回線とVPNを通じて事業所のサーバーに保存しデバイスには残さないことで、紛失や盗難からデータを守りセキュリティを強化している。

メリット

  • 人の動きや業務の状況を、写真や位置情報も含めてリアルタイムで共有。
  • ペーパーレス化による業務改善、素早い現状把握、高速道路維持管理作業上の安全の確保。
  • 報告書作成やパソコンへの転記入力といった業務の負担軽減とスピードアップ。

システム構成

  • FileMaker Server 1ライセンス
  • FileMaker Pro 1ライセンス
  • iPadとiPad mini 計75台

現場のニーズに合わせて作成したカスタム Appが、打ち合わせからわずか3か月で稼働開始

株式会社ネクスコ・メンテナンス東北
取締役 藤野智幸氏

高速道路の補修、交通規制、交通事故や災害時の復旧、防災対策、道路やサービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)の清掃や植栽の整備など、ネクスコ・メンテナンス東北の事業は多岐にわたる。東北地方であるため、除雪や路面凍結防止も重要な作業だ。同社が保全管理をしている高速道路の営業路線延長は1,284kmにおよび、この範囲を15の事業所で分担して業務にあたっている。このうち、東北自動車道の安代IC(岩手県)から秋田県を通り、碇ケ関IC(青森県)までの66.1kmを担当しているのが、十和田事業所だ。

ネクスコ・メンテナンス東北取締役の藤野智幸氏は「高速道路を利用するお客様の安心・安全・快適・便利のために、広い地域でのメンテナンス業務に日夜取り組んでいます。業務の効率化のために、現場への持ち運びが便利で使いやすく、情報の共有もしやすいiPadを導入しました」と背景を語る。

株式会社ネクスコ・メンテナンス東北
十和田事業所
所長 伊藤和明氏

iPadとFileMakerベースのカスタム Appを保全管理業務に活かそうと積極的に推進したのが、十和田事業所の所長、伊藤和明氏だ。FileMaker開発パートナーの株式会社寿商会に相談し、最初の打ち合わせからわずか3か月後には稼働開始となった。

稼働当初のカスタム Appは、清掃員安全管理システム、安全巡回システムなど、8つの機能を統合したもの。「打ち合わせから導入まで、あっという間でしたね」と伊藤氏は振り返る。寿商会の若林孝氏が「iPadで利用する方の負担や入力時間の短縮を考えて、キーボード入力は最小限にとどめました」と語るこのカスタム Appは、その後も開発や改修を継続し、さまざまな改善と機能追加をしながら成長している。

稼働当初は8種類のシステムが統合されていたが、その後もこのカスタム Appは成長し続けている 拡大表示

現場からの情報はとても大事で、作業員からの迅速な報告が高速道路の保全管理には欠かせません。今では、FileMakerのカスタム Appは業務になくてはならないものになりました。

- 株式会社ネクスコ・メンテナンス東北 十和田事業所長
  伊藤和明氏

安否確認と業務報告の機能を兼ね備えた「清掃員安全管理システム」

清掃員安全管理システム

SA・PAの清掃員は現場に直行直帰の勤務体制で、タイムカードを使用して1か月単位で勤務状況を集計していた。そのため、このカスタム Appの導入以前は出退勤の状況を事業所でリアルタイムに知ることはできなかった。清掃員が勤務先のSAで急病のため倒れたことに事業所では気づかなかったという出来事があり、このことが伊藤氏が清掃員安全管理システムの導入を急いだ理由のひとつでもあった。

現在は、清掃員が出勤時と退勤時にiPad上のボタンをタップしてカスタム Appに記録し、それが事業所のサーバーへ即座に保存されるので、事業所で安否を逐一確認できる。作業内容やトイレットペーパーの使用数も、清掃員がiPadで入力する。

指先だけで報告を入力できるので楽になったと好評。
導入直後は多少の戸惑いはあったものの、すぐに慣れたという

FileMakerで作成されたカスタム Appを導入する前は、日報を手書きしていた。清掃員からは「以前は清掃業務終了後に書類を手書きで作成する必要があり、時間がかかっていました。iPadを使うようになって、手書きよりずっと楽でスムーズに報告できます」と好評だ。以前はタイムカードや紙の日報を1か月分まとめて、月末に事業所に集めていた。それを事務担当者がパソコンに入力して、勤務時間やトイレットペーパーの使用数を集計。この作業に3日かかっていたという。しかしこれもこのカスタム Appを導入したことにより、入力の手間が不要になり、集計も瞬時にできるようになった。

このカスタム Appには、清掃員が目についたことを自由に入力できる日誌の欄も用意されている。事業所にいる社員はこの日誌もリアルタイムで見ることができるため、対応が必要と判断したコメントや要望に対してすぐに行動を起こせる。紙の日報を月に一度集めていたころには考えられなかったスピードだ。たとえば、いつもよりずっと大量のゴミがSAに捨てられていた日に、そのことを清掃員が日誌に入力したため、事業所がすぐに対応できたといった事例などがあるという。このようなスピーディーな対応が、SA・PA利用者の安全や快適さに大きく貢献している。「何かあればすぐに対応してもらえます」と清掃員の信頼と安心にもつながっている。日誌には植栽の花の様子などが書かれていることもあり、スタッフ間のコミュニケーションにも一役買っているようだ。


文字情報、写真、位置情報を一元管理して共有できる「安全巡回記録システム」

高速道路の維持保全作業における安全管理の効率化のために開発されたのが、このシステムだ。路面補修工事や危険木伐採作業などの現場では、「安全巡回記録システム」を使用して、iPadで安全点検チェック項目を確認・記録している。点検した内容をiPadのカメラで撮影した写真で記録し、指摘や是正事項があれば入力する。これがそのまま点検結果の報告書になるので、報告書を作成する作業負荷は大幅に軽減された。

現場で保全作業の安全巡回にあたっている社員は「このカスタムAppからiPadで写真を撮って記録できますし、あとは簡単な入力だけで済みます。紙とデジカメを使っていた以前に比べて、ずっと簡単に報告書を作成できるようになりました」と実感を語る。さらにカスタム AppにはFileMakerとiPadの機能を活用してGPS情報も記録されるようになっているので、事業所で「いつ、どこで、何が起きているか」を瞬時に把握できる。大きな交通事故や大雪など、関係機関や応援スタッフとの調整が必要な事態になったときにも、写真やGPS情報がとても役に立つという。

安全巡回記録システム
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報告事項も写真も簡単に入力できるカスタム App。高速道路の現場で使用するため、防塵防水の頑丈なiPadケースが必須だ

「以前は安全巡回の現場に記録簿の用紙を持参して状況を手書きしていました。現場で撮影した写真を記録簿と一緒に管理できないという問題もありました。今ではFileMakerのカスタム Appで記録簿と写真を同時に管理できるので、どこをどのように整備したのかが明確にわかります。しかもその情報を全員でリアルタイムに共有できます。現場の安全管理の効率が、大幅に向上しました」(伊藤氏)。

株式会社寿商会 代表取締役社長の若林孝氏。若林氏によれば、ネクスコ・メンテナンス東北のカスタム Appは実際に運用しながら機能の拡張や改善を続け、1年間で数十か所にのぼる修正を加えているという

FileMakerならではのスケーラビリティとセキュリティを活かした導入と運用

若林氏は開発当初からの方針を、「FileMakerの柔軟なスケーラビリティを活かして、まずはシンプルな作りの小規模なシステムを短期間で導入し、使いながら改修していくことを目指しました」と説明する。「機能やユーザー数の追加など、今もたえず拡張し続けています。FileMakerは、実際に運用しながら業務の実態に即したものに育てていくという使い方に、ほんとうに適しています。どんどん成長して、立派なカスタム Appになってきましたね」と若林氏は笑顔を見せる。

セキュリティも、開発当初から配慮していたポイントのひとつである。このカスタム Appでは、データをiPad内には保存せずサーバーに転送して保存する、通信には L2TP/IPsec による VPN を利用するなどの機能が実装されている。「最初に稼働したバージョンはシンプルなものでしたが、どれほどシンプルなものであってもセキュリティはしっかりと確保しなくてはならないという考えがありました。FileMakerには高いセキュリティ機能が豊富に装備されていますから、わずかな手間で確実なセキュリティを実装できます」(若林氏)。

さらに全国へと、このカスタム AppとiPadを広げたい

「現場からの情報はとても大事で、作業員からの迅速な報告が高速道路の保全管理には欠かせません。今では、FileMakerのカスタム Appは業務になくてはならないものになりました。まずはやってみようということで始めましたが、導入してほんとうによかったと思っています」と、伊藤氏はこの実績に大きな手応えを感じている。藤野氏も「FileMakerのカスタム Appにより、予想以上に業務が効率化されました。しかも、まだまだ成長する可能性があると考えています」と期待を寄せる。

タイムリーな情報共有とコミュニケーション、情報の一元管理、書類作成や集計業務の省力化と時間短縮、ペーパーレス化。これらを実現したFileMakerベースのカスタム Appが、高速道路の利用者と、高速道路を保全管理するスタッフの安全と安心に大きく寄与している。まずは十和田事業所で始まった取り組みだが、すでにネクスコ・メンテナンス東北のほかの事業所への展開も始まっている。「このカスタム Appを、ほかの事業所へ、そして全国の高速道路管理事業へと広げていきたいですね」と伊藤氏の目はさらに遠くを見据えている。

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