ユーザーインタビュー

理想をめざして日々進化する、 “使い手主体の” 電子カルテ

診療科ごとにカスタマイズされた電子カルテを、FileMaker Pro で実現

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使い勝手のよいシステムは、柔軟なユーザーインターフェースがあってこそ

大阪城にほど近く、大阪の中心部に拠点を構える「独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター」は、ベッド数が約650床、1日に約1000人もの外来患者の治療にあたる、大規模な総合病院です。癌や循環器系の治療レベルが高く評価されており、関西一円から患者が通院しています。また、難病や救命救急医療などに代表される、いわゆる「政策医療」と呼ばれるジャンルの医療も担ってきました。

このように高い医療レベルを誇る大阪医療センターですが、同時に病院情報システムへの取り組みの面でも、医学会の注目を集めています。特に「それぞれの診療科の特質にあわせ、個別にカスタマイズされた電子カルテ」を実現した点は、総合病院としては全国初の試みといわれています。「医療現場で働く医師やナースが『本当に使いやすい』と満足できるユーザーインターフェースは、FileMaker Pro があってはじめて実現できたこと」と語る、プロジェクトリーダーの岡垣篤彦先生にお話をうかがいました。

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独立行政法人 国立病院機構

大阪医療センター 産婦人科 医長 岡垣篤彦氏

大阪医療センターにおける病院情報システム導入のタイミングは早く、1995年にはすでに、あるコンピュータメーカーが開発したオーダリングシステム(紙に手書きしていた伝票や処方箋をコンピュータ入力に変えることにより、薬局での処方箋処理から医事会計までを電子化したシステム)を採用していました。しかしこれは旧式のOS上で動くシステムでした。

「完全なテキストベースであり、OSの機能も不十分であったため、画面の入出力操作がめんどうで忙しい外来診療の流れが滞ってしまうおそれがありました」と岡垣先生は振り返ります。

実は、岡垣先生は古くからのMacユーザーです。オーダリングシステム導入の前年1994年から、入院待ち患者の管理、各診療科と手術室のスケジュール調整および統計用のシステムを FileMaker Pro で自作し、病院で運用した経験もあり、システムを実際に使う人が直接設計に関わることのメリットを痛感していたそうです。

「そこで “医療スタッフ自身の手で形にしてみせるとこうなる” ということを実際に示してみたくなり、私が所属する産科用の電子カルテを、FileMaker Pro で作ってみたんです。」

産科だけでローカルに使用していたこの電子カルテが病院内で評判となり、2000年の病院情報システムのリプレース時には、循環器系、産科、総合内科という3つの科それぞれに、FileMaker Pro で個別にカスタマイズされた電子カルテが正式に採用されることになりました。また、その成果は、厚生労働省の「高度総合医療施設における電子カルテの実用化と評価に関する研究」の一環として、正式発表されました。そして、2006年春、病院情報システムが再びリプレースされる際に、歯科をのぞく全診療科の電子カルテのユーザーインターフェースが、FileMaker Pro で作成されることになったのです。

現場サイドの意見にいわば背中を押された形で実現したこの新システム、具体的にはどのようなものなのでしょうか。

厚生労働省によって推進されたという背景もあり、病院情報システムは、ほぼすべての大病院に広まった感があります。ですが、「広まった=実用性が高い」という図式は、単純にはあてはまらないようです。

「コンピュータメーカーが提供する電子カルテシステムは、医事システムより発達したためユーザーインターフェースの工夫に乏しく、情報をテキストベースで表示する形式になっています。医師が見たい部分に行き着くのにスクロールが必要で、紙のカルテ以上に更新や参照に手間がかかりがちでした。しかし、それでは忙しい医師やナースの仕事が滞ってしまいます。また、当病院にはたくさんの診療科があり、カルテのデザインに対する要求も、診療科ごとに大きく異なっていました。ところが、メーカー製の電子カルテは、簡単にはカスタマイズできません。まずメーカー側のSEに依頼してこちらの要望を伝えるのですが、言葉や書類のやりとりだけですと、できあがりのイメージが異なる場合も多く、そのやり直しを含めると、かなりの時間とコストがかかりました。カスタマイズの柔軟性も十分ではなく、特に産科や眼科など、画像データが非常に重要な診療科では、あまり実用的でない電子カルテができあがる可能性がありました。」

そこで2006年のリプレースに際し、大阪医療センターは、メーカー側に次のような条件を掲げたのです。「ユーザーインターフェースは既成のものではなく、FileMaker Pro で作成してほしい。大型基幹システムのパワーと FileMaker Pro の柔軟性、お互いの良いところを組み合わせたい。」メーカー側でもあまり前例のないシステム構築が、こうしてはじまったのです。

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プロフィール

独立行政法人 国立病院機構
大阪医療センター

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旧国立大阪病院。2004年4月から独立行政法人化される。ベッド数約650床の、高度総合医療機関。癌、循環器系の治療実績に高い評価を得ている。政策医療も特色のひとつ。病院情報システムのフロントランナーとしても名高い。厚生労働省の要請を受け、「高度総合医療施設における電子カルテの実用化と評価に関する研究」をおこなった実績がある。

http://www.onh.go.jp/

システム構成

    • Windows XP
    • Mac OS X
    • FileMaker Pro 8.0
      914 クライアント
    • FileMaker Server
      3 ライセンス(8.0×2、9.0×1)

FileMaker カスタマ・ストーリー

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