ユーザーインタビュー

理想をめざして日々進化する、 “使い手主体の” 電子カルテ

診療科ごとにカスタマイズされた電子カルテを、FileMaker Pro で実現

写真

深井照美 看護師(左)岡垣先生(右)

目標は、医療スタッフ全員のリクエストに応えること

電子カルテを設計するにあたり、岡垣先生はまず、各診療科ごとに意見を取りまとめる代表者(ドクター)を決めたといいます。そしてメーカー側のSEと直接向かいあってもらい、パソコンの画面上で実際にシミュレーションをおこないながら、電子カルテをデザインしていったのです。「FileMaker Pro を目の前で使うことで、電子カルテの各フィールドの色やデザインのような、細かい要望に到るまで行き違いなく要望をすくいあげることができ、より実用的なグラフィックユーザーインターフェースの設計が実現できました。」

また、FileMaker Pro を仕様設計のベースに置いたメリットは、「ユーザーの意見や要望を忠実にすくいあげ、実現できる」という点だけにはとどまりませんでした。
「システム開発にかかる時間を大幅に削減できました。全診療科にわたるカスタマイズという、完成まで何年かかるかわからないとも思える仕組みを、FileMaker Proをもちいることにより半年間で実現することができました。コスト削減はもちろんのこと、システム構築時に発生しがちな病院業務への支障も、最小限にとどめることができたのです。」

電子カルテシステムがめざすゴールは「医療の質の向上」であると、岡垣先生は語ります。「電子カルテのおかげで医療の質が格段に向上した、そう評価されるシステムを作りたい。そのためには、診断の精度を上げ、より正しい治療がおこなえるような工夫を盛り込む必要がある。そう考えました。」たとえば産科の電子カルテでは、産科ドクターたちのリクエストに応え、妊娠週数の自動計算機能、血圧や各種検査結果の一覧表示機能など、診療に役立つカスタマイズが盛り込まれています。また、眼科の電子カルテでは、眼科ドクターたちの意見を反映し、時系列で患部写真を並べられるようにするなど、眼科ならではの工夫がなされています。

眼科の電子カルテ

眼科の電子カルテ

拡大表示

多様なニーズに臨機応変に対応する「医療業務支援システム」を開発

さらに、今まで必要に応じて作っていた台帳ファイルを、電子カルテ上で一元管理し、必要に応じて参照できる「参照系システム」も同時開発しました。これにより医療業務の質と効率が、大幅にアップしたといいます。一例として、褥瘡(じょくそう)管理台帳を紹介しましょう。褥瘡とは床ずれのことで、保険点数の加点につながるため、全入院患者の情報を管理する必要があります。一般の病院では一人ひとり紙の台帳で対応していることが多く、ナースに大変な負荷がかかってしまいます。大阪医療センターでは、電子カルテから必要項目だけを抽出し、一覧表示できるシステムでこれを管理するようにしました。これにより、ナースの負担が大幅に軽減されたそうです。

褥瘡管理台帳

褥瘡管理台帳

拡大表示

また、FileMaker Pro は帳票作成が簡単なので、臨機応変にさまざまなニーズに対応できるようになりました。医療スタッフの要望に応じ、電子カルテから必要なデータを抽出して、その場で便利な帳票を作成したり、すでに稼動しているシステムを短い時間で改善したりもしているそうです。「メーカーに発注して開発してもらうとなると、こうはいきません。仕様書や工程表を作り、1カ月単位で時間とコストがかかってしまいます。一方、FileMaker Pro なら、使用しながら同時に柔軟な仕様変更が可能です。まさに『使いながら進化する』システムといえるでしょう。」

FileMaker Pro をユーザーインターフェースに使うメリットが、さらにもうひとつあります。それは、FileMaker Pro をハブとして、他のソフトウェアをWeb経由で呼び込み、電子カルテのデータを展開するという使用法です。たとえば、分娩監視のための専用ソフトウェアを外部から呼び込むことにより、電子カルテ上にある「赤ちゃんの心拍数」のデータを画面にグラフ表示して、リアルタイムにモニターすることなどが可能となります。メーカー製の電子カルテを苦労してカスタマイズするのと同じ機能が、非常に容易に実現できているといえるでしょう。

産科電子カルテ

産科電子カルテ

拡大表示

これらの資料や帳票類は、一元管理された電子カルテ上のデータを「参照」することにより自動的に作成されます。これにより、手書きで転記されることによって起こりうる機密情報の漏えいを防げるだけでなく、転記ミスによる医療過誤の予防にも大いに役立っているといいます。

最後に、今後の抱負を岡垣先生にうかがいました。「使いやすいインターフェースということを突き詰めると、診療科にとどまらず医師ごとにカスタマイズされているというのがさらに望ましいと思います。夢のような話ですが、これは現在の仕組みでも手間さえかければ実現可能です。さらに、病院間に共通の標準化されたデータ項目を決めて、転勤になると同じユーザーインターフェースを次の病院に持って行って使えるというのが理想的状況と思います。」一人ひとりの医師のニーズに完全対応した、より使いやすいユーザーインターフェースの実現をめざし、岡垣先生の活躍の場が、ますます大きくなっていくことでしょう。

前ページ:使い勝手のよいシステムは、柔軟なユーザーインターフェースがあってこそ

プロフィール

独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター

写真

旧国立大阪病院。2004年4月から独立行政法人化される。ベッド数約650床の、高度総合医療機関。癌、循環器系の治療実績に高い評価を得ている。政策医療も特色のひとつ。病院情報システムのフロントランナーとしても名高い。厚生労働省の要請を受け、「高度総合医療施設における電子カルテの実用化と評価に関する研究」をおこなった実績がある。

http://www.onh.go.jp/

システム構成

    • Windows XP
    • Mac OS X
    • FileMaker Pro 8.0
      914 クライアント
    • FileMaker Server
      3 ライセンス(8.0×2、9.0×1)

FileMaker カスタマ・ストーリー

活用事例を見る