サンライフゆもと

老健施設入所者のリハビリ状況、在宅復帰した場合に受けられる在宅サービスの内容や費用などを居宅家族にiPadを使ってわかりやすく伝えることで、15%だった在宅復帰率が40%以上に向上。

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医師、看護師、介護福祉士、リハビリ専門職など、多職種の職員同士が入所者の情報を共有するFileMakerソリューションに蓄積されたノウハウを、iPadで動作する「在宅復帰支援シミュレーター」に活用

「在宅復帰支援シミュレーター」によって入所者の現況や在宅サービスの詳細や費用を、iPadを使ってわかりやすく説明でき、ご家族の不安を解消するとともに職員同士の情報共有がさらに進み、業務効率アップで残業も削減。

医療法人社団 秀友会
介護老人保健施設
サンライフゆもと

  • 福島県いわき市常磐藤原町大畑13-1

概要

  • 入所者が在宅復帰するにあたり、家族に対して在宅復帰後の介護負担や在宅サービスの内容、自己負担額などの十分な説明は不可欠。サンライフゆもとでは、職員がFileMakerで開発した「在宅復帰支援シミュレーター」によって、わかりやすい情報提供を実現し、家族の不安や疑問の解消に役立てている。入所者が1日も早く在宅復帰し、家族と充実した時間を過ごすための取り組みは着実に成果を上げている。

業種

  • 介護保険事業

ソリューション

  • FileMaker Goで動作する「在宅復帰支援シミュレーター」は、施設入所者のさまざまな情報を管理しているFileMakerソリューションがホストされているFileMaker ServerにWi-FiでiPadから接続。施設入所者の基本情報をはじめ、専門職からのさまざまな評価などをiPad上ですべて把握できる。また、どのような在宅サービスを何日利用するかを入力し、そのサービス単位が区分支給限度額内におさまるか、自己負担金額がいくらかを即座に自動計算可能。

メリット

  • 在宅復帰にあたって家族が抱く介護負担や在宅サービスの内容、費用負担などへの疑問や不安を効果的に解消。iPadの画面を一緒に見ながら説明することで、家族の理解が深まり、在宅復帰率の大幅な向上を実現。さら在宅復帰のための資料作りに必要な時間や手間が大幅に削減された。専門職同士の情報共有をスムーズに行うことでケアの質が向上し、業務効率化によって残業時間が大幅に減少。

システム構成

  • ・FileMaker:25ライセンス
    (ボリュームライセンス)
    ・iPad:10台
    ・Mac:25台
    (iMac, MacBook, Mac Pro, MacBook Pro, MacBook Air, Mac mini)

在宅復帰率向上へ施設一体で取り組む。

サンライフゆもと
施設長・医師
箱崎 秀樹 氏

1988年、福島県第1号の老人保健施設として開所した「サンライフゆもと」は、医療、看護、介護、リハビリテーションなどを地域住民に提供している。

厚生労働省は2012年、地域包括ケアの推進を念頭に在宅サービスの充実と施設サービスの重点化を目指し、介護報酬の改定を行った。在宅復帰強化型老健施設に移行すれば、報酬単価が上がり増収が見込めるが、そのためには在宅復帰率50%超(直近6か月)などきわめて高いハードルが設けられていた。

サンライフゆもとは在宅復帰・在宅療養支援加算が認められる在宅復帰率30%(直近6か月)を目指しての取り組みを行った。2012年10月、箱崎秀樹施設長が全職員に説明し意思統一を図るとともに、在宅復帰委員会を設置。各部門の所属長やケアマネージャーが在宅復帰のためのワークフローを徹底的に見直した。

サンライフゆもと
在宅復帰支援室 室長
笹島 みつ子 氏

在宅復帰支援室 室長の笹島 みつ子氏は次のように語る。
「入所者様には当施設におけるリハビリなどを通して身体的機能、精神的機能を回復していただき、ご自宅に戻ってご家族と一緒に充実した時間を過ごしていただきたいと思っています。しかし施設を退所するにあたって、本当に自宅でやっていけるのかという不安や疑問を抱かれるのも確かです。そこでご家族と十分に話し合い、しっかりと説明して納得していただくことが大切です」。

家族の不安や疑問は、身体的・精神的な介護負担、そうした介護負担を減らすための通所リハビリ、訪問リハビリ、短期入所療養介護(ショートステイ)など在宅サービスの内容、自己負担額がいくらになるかの3点に集約されるという。そうした点についてわかりやすく説明し、理解してもらうことが重要だった。

FileMakerを活用して医療、看護、介護、リハビリテーションなど、多職種の職員同士の情報共有を促進しています。
iPadで動作する「在宅復帰支援シミュレーター」は、ご家族の疑問や不安の解消に役立ち、在宅復帰率の向上につながっています。
効率的な業務運営にFileMakerは必要不可欠なものです。

— サンライフゆもと 施設長・医師 箱崎 秀樹 氏



費用の自動計算やリハビリの様子を動画や写真で確認

入所者の基本情報画面。リハ主担当、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、支援相談員の各担当、要介護度などが記載されている。

当施設には医師・看護師、介護福祉士、理学・作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、薬剤師、歯科衛生士、支援相談員、ケアマネージャーなどさまざまな専門家が働いている。そうした専門家たちの意見や入所者の状況をしっかりと家族に伝え、利用できる在宅サービスの内容や費用をわかりやすく提示するのがiPadで動作する「在宅復帰支援シミュレーター」だ。

FileMaker GoがインストールされたiPadはWi-FiによってFileMaker Serverに接続され、入所者に関するさまざまな情報を閲覧することができる。

在宅復帰支援シミュレーターの入力画面には1か月のカレンダーが表示され、短期入所、通所リハ、訪問リハなどのサービス内容と利用日数を入力するだけで、そのサービス単位が区分支給限度額内におさまるか、自己負担金額がいくらになるかを自動計算してくれる。

「ご家族との間にiPadを置き、一緒に見ながら説明や相談ができるのが最大のメリットです。介護保険などの知識のない方でも、とてもわかりやすいのですぐ理解していただけます。誰でも簡単に使いこなせる点も気に入っています」(笹島氏)。

以前、紙にサービス内容や利用日数を書きこんでいたときは、変更するたびに線を引いて消して、新たな内容を書き込んでいた。金額も変更するたびに手計算しており、大きな手間と時間がかかっていた。だが在宅復帰支援シミュレーターならば条件の変更も容易で、金額も自動計算され、その場ですぐに結果が見える。何より見やすくわかりやすい情報を提供できるという。

施設入所者の現在の状況をすぐに確認できることも大きなポイントだ。生活機能(基本動作、歩行移動、コミュニケーション、食事動作、排泄動作など)が今どんな状態であるか、また医師、看護、介護、リハビリ、栄養、支援相談、ケアマネージャーなどの専門職からの評価を見ることで、入所者の現況を詳しく知ることができる。さらにiPadで撮影したリハビリや生活の様子を伝える動画や写真を手軽に見ることも可能だ。

「ご家族に入所者様が今どんな状態で、入所した時からリハビリなどによってどの程度回復したかを知っていただくことはとても大切です。身体機能、精神機能の評価を伝え、リハビリの様子などを動画で見ていただくことで、在宅復帰が可能かどうかの判断材料を提供することができます(笹島氏)。

このように在宅復帰支援シミュレーターは入所者の基本情報と現在の状況を正確に伝え、在宅復帰後の介護負担や費用負担を示し、家族の不安や疑問を解消する上で大きな役割を果たしている。

サービスメニューと利用日数、利用日を選択すれば、サービス単位が区分支給限度額内におさまるか、自己負担金額がいくらになるかを自動計算してくれる。拡大表示
リハビリテーション実施状況。iPadのカメラで撮影した動画を見ることができる。


15~17%だった在宅復帰率が40%以上に向上

サンライフゆもと
リハビリテーション室 室長
理学療法士
齊藤 隆 氏

在宅復帰支援シミュレーターを開発したのは理学療法士でリハビリテーション室室長の齊藤 隆氏だ。

「誰にとっても使いやすくわかりやすいシミュレーターの実現を目指しました。在宅サービスを内容によって色分けしたり、よく使う操作に関しては自動化を取り入れるなど、使いやすさにこだわりました。紙で運用されていたときのフォーマットを基にしたので、iPadへの移行もスムーズでした。ご家族への説明に役立っているのはもちろんですが、専門職が集まる会議など職員同士の情報共有にも役立っています」。

齊藤氏はシミュレーターの基本となる部分を、週末を含めた数日でつくり上げたという。シミュレーターを実装するために必要な情報は、ずっと以前から利用してきたFileMakerソリューションにすでに蓄積されていたので、あとはそれをiPadで使いやすいように組み上げることに知恵を絞れば良かった。

サンライフゆもとが在宅復帰委員会を立ち上げ、そのためのワークフローを見直し、在宅復帰支援シミュレーターを導入した2012年10月に、それまで15~17%(直近6か月)だった在宅復帰率が20%を超え、2013年1月には30%を突破。その後もコンスタントに40%を超えるようになった。こうした施設側の熱意と取り組みは入所者の家族にも伝わり、在宅復帰に関心と意欲を示してくれる家族が増えたという嬉しい変化もあった。在宅復帰したときの介護の仕方や介護食の作り方などを講習する説明会を施設が定期的に主催しているが、毎回参加者も多く大好評であるという。

情報共有を促進し、業務効率アップ

サンライフゆもとでは1996年からFileMakerを用いたシステム構築を行ってきた。介護事業では扱う書類の数が非常に多く、業務の効率化のために、電子化、システム化は不可欠だった。

齊藤氏はいくつかのパッケージソフトを調査したが、自分たちが求める形にカスタマイズするためには多大なコストと手間が必要だった。そんなとき出会ったのがFileMakerだった。FileMakerは柔軟性が高く、修正も簡単で、自分の手で欲しいものをつくることができた。

「これだ! と思いましたね。誰でも簡単に使えて、思い通りにカスタマイズできる。これなら施設内の多岐にわたる業務に対応できると直感しました」(齊藤氏)。

リハビリ部門の情報管理から始まり、その後ケアマネージャーが利用するさまざまなツールや数多くの書類作成、職員勤務管理、連絡掲示板など、業務の多くにかかわるシステムをFileMakerで構築していった。

「FileMakerによって多くの専門職同士の情報共有が容易になり、業務効率の向上によって残業が大幅に減りました」。

それまでバラバラに業務をこなしていた医師、ケアマネージャー、リハビリのスタッフ、管理栄養士などがFileMakerによって1人の入所者の情報を手軽に共有できるようになり、より適切で効率的なケアを実現できるようになったという。

さらに、職員同士の情報共有に加え、新たに導入された在宅復帰支援シミュレーターによって職員と家族との情報共有が効率的に行えるようになり、家族の不安や疑問を解消することで、在宅復帰率の大幅な向上を実現した。
「さらにきめ細かい入所者様情報を電子化することで、いっそうの業務効率向上を図っていきたいですね」(齊藤氏)

サンライフゆもとは今後もFileMakerを業務のベースとして最大限活用することで、介護の質を向上させ、地域包括ケアへのさらなる貢献を続けていく。

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