株式会社すずまる

「放送業界は急な仕事の依頼や変更が多く、先の読みづらい業界。FileMaker のおかげで、正確なスケジュール管理が行え、確実に人を割り当てることができ、さらに業務報告や労務管理と紐づけることができました」

FileMaker で作成した単機能のツールを順次拡張し、“統合業務管理ツール”を開発。業務に紐づいた社員のスケジュールや労務の管理まで可能にする。

株式会社すずまるでは長年にわたる FileMaker の活用ノウハウを活かし、独自開発した報告書管理ツールを拡張して、受注管理、スケジュール管理、労務管理、業務引継ぎ情報などを連携させた“統合業務管理ツール”を開発。

株式会社すずまる

概要

  • 仕事の受注から、正確なスタッフのアサイン、頻回なスケジュール変更への対応、次につなげる業務引継ぎ報告書の作成までを統合して管理することを計画

業種

  • テレビ番組制作
  • 50 名(2011 年 12 月現在)

ソリューション

  • 業務の報告書管理ツールを拡張して、受注管理、スケジュール管理、労務管理、業務引継ぎ情報などを連携させた“統合業務管理ツール”を作成

利点

  • 「業務の効率化」
    • 受注伝票などの事務処理の効率化
    • 業務別/担当者別スケジュール管理の正確性の向上
    • 月次の勤務時間集計作業の軽減
  • 「仕事の質の向上」
    • 過去の業務引継ぎ報告書の確認の容易化
  • 「顧客満足度の向上」
    • 実績のある担当者のスムーズなアサインを実現

システム構成

  • FileMaker Pro
    22 ライセンス
  • FileMaker Pro Advance
    1 ライセンス
  • FileMaker Server
    1 ライセンス

FileMaker で作成した統合業務管理ツールによって、業務の効率化だけではなく、仕事の質が向上し、顧客満足度の向上にも役立っています

――システム部 部長 須田 武則氏


株式会社すずまる
システム部 部長
須田 武則氏
株式会社ともクリエーションズ
代表取締役
渡邊 桃伯子氏

ワープロベースのツールでスケジュール管理が煩雑に

主に NHK の報道、情報番組の制作などを手がける株式会社すずまる。経験豊富なフロアディレクター、送出卓ディレクター、生放送ディレクターが、たくさんの現場で番組制作の一翼を担っています。

「当社には放送局から番組ごとに、いつ・どこに・何名のスタッフをお願いしたいという依頼が入ります。その都度、スケジュールの合うスタッフをアサインして、スケジュールを組むわけですが、依頼内容が急に変更になり、時間や人数を調整し直さなければならないことがしばしばあります」と同社の須田武則氏は話します。

同社ではこれまでワープロソフトで月単位のスケジュールを組み、それを紙に印刷して各社員に配布するという形で毎月のスケジュール管理を行っていました。「しかし、変更が多く、月刊のはずのスケジュール表はほぼ日刊のようになり、毎日のように新しいスケジュール表が配布される状態でした。それだけ煩雑になると、時には入力ミスや漏れがあり、スケジュールの変更がスタッフに正確に伝わらず、クライアントに迷惑をかけしまうこともありました」と須田氏は当時の課題を振り返ります。

この状態を何とかしたい――。そこで注目したのが、FileMaker です。もともと同社は FileMaker Pro をバージョン 4 の頃からずっと使用しており、業務の引継ぎ報告書の管理ツールとして活用していました。これはスタッフが現場で行った業務内容やクライアントからの要望、課題や改善点などを記録し、今後の業務遂行上の参考にしていくものでした。

「業務に関する情報を FileMaker で管理していたので、これをさらに発展させ、スケジュールも含めた業務全般を管理できないかと考えました」と話す須田氏。そこで、株式会社ともクリエーションズ(以下、開発パートナー)に相談。新しい業務管理ツールの開発に乗り出すことになりました。

複雑な連携処理に対応。業務の統合管理を実現

①「受注伝票」画面 拡大表示

開発にあたっては、約 3 カ月かけて、業務の受注からスケジュール管理、業務をクローズするまでのワークフローを分析。「どこから手をつけるべきか、何をするべきかを検討し、新しい業務管理ツールの青写真を構築していきました」と開発パートナーの渡邊 桃伯子氏は述べます。分析の結果、業務の受託管理、スケジュール管理、業務引継ぎ報告書などをリンクさせた“統合業務管理ツール”を設計しました。

具体的には電話で受注した業務内容を入力すると、受注伝票が生成され、受注番号がスケジュール管理表に入力されます①。依頼された業務に誰をアサインするかは、集計された勤務時間概算を見ながら調整していきます。これは、受注伝票にあらかじめ登録された業務ごとの予想勤務時間を集計したもの。また、社員や番組名などから業務引継ぎ報告書を呼び出し、過去の実績や評価をもとにスタッフをアサインすることもできます。当然、スタッフが業務終了後に入力した業務引継ぎ報告書もデータベースに蓄積されていきます。

また FileMaker で作成したスケジュール表は A3 用紙に収まるサイズで PDF ファイルに出力されています。複数月分をまとめて処理することも可能です。標準は業務単位での表示②ですが、表示方法を切り替えれば、担当者別に割り振られた業務やスケジュールを一覧表示することもできます③。

運用スタイルは、管理表をプリントアウトし、各スタッフに配布するという従来のやり方を踏襲。あえて紙の管理にこだわるのは、直行直帰の毎日にならないよう会社に足を向かせるためです。現場での作業が多いので、会社への帰属意識を高めたいという狙いです。

今回開発したツールの中で、受注伝票の部分は須田氏が作成したもの。それを組み込んで、開発パートナーが“統合業務管理ツール”として仕上げました。

「FileMaker は独学で勉強しましたが、専門の知識がなくても使いこなせるユーザーフレンドリーなツール。バージョンアップにも連続性があるので、これまでの知見やノウハウを活かせます」と須田氏は感想を述べます。開発パートナーの渡邊氏は開発者の視点から次のように評価しています。「FileMaker は互換性が高く、異なるファイルの受け渡しが可能。分業もやりやすかったですね。フィールド定義もわかりやすいので、複雑な連携処理も、比較的容易につくることができました」

②「業務別スケジュール」画面 拡大表示
③「担当者別スケジュール」画面 拡大表示

事務作業の効率化に加え、業務の質の向上にも貢献

④「業務記録」画面 拡大表示

FileMaker による“統合業務管理ツール”は同社にさまざまな導入効果をもたらしています。まず挙げられるのが、スタッフのスケジュール管理の正確性が高まったことです。以前は電話で業務依頼があると、誰をアサインできるかを直近のスケジュール表で確認していました。スケジュール上ではスタッフの実際の勤務時間までわからないため、特定の人に仕事が偏ってしまうこともあったといいます。

しかし、現在は展開軸を変更すれば、スタッフ別のスケジュールにすぐに切り替わります。誰が・いつ・どんな仕事を持っているかが一覧的にわかるうえ、直近の勤務時間の概算も表示可能です。「間違えて同時間帯に同じスタッフをアサインしてしまうというダブルブッキングを防ぎ、仕事の偏りも解消されています」と須田氏は語ります。

伝票処理など事務作業の効率化にもつながっています。以前は受注した業務とスケジュール管理は別々に行っていましたが、今回開発したツールによって、どの業務に、誰が、どれだけ従事したかが容易に把握できるようになりました。それを確認すれば、請求書の作成業務も間違いなく行えます。

また毎月の給与は月締めで集計する勤務時間の累計に基づいて精算されています。そのためのツールも開発。以前は、月末に各スタッフが手書きの出勤簿勤務表をもとに集計作業を手作業で行っていましたが、今は FileMaker でスタッフ別に蓄積し、自動計算している出勤簿を見れば、直近の累計勤務時間がすぐにわかります。「集計の手間が不要になり、計算ミスもなくなりました。スタッフからは管理が楽になったと好評です」(須田氏)。

導入効果はそれだけではありません。スタッフをアサインする際、スケジュールや勤務時間のほかに、過去の業務引継ぎ報告書も確認可能になりました④。「これをもとに、例えば、以前に同じ番組や類似の番組制作の経験があるスタッフを割り当てることもできます。経験のあるスタッフなら仕事の段取りやポイントも把握しているので、業務のクオリティ向上が実現できます」と須田氏は評価しています。FileMaker をベースにした管理ツールは業務の効率化だけではなく、仕事の質の向上、顧客満足度の向上にも役立っているのです。

開発パートナーの渡邊氏は「今回、統合的な業務管理ツールをスムーズに開発できた背景には、株式会社すずまる様が FileMaker を活用してきた長年のノウハウの蓄積があったことが上げられます。ベターアンサーをともにやりとりしながら、目標に向かって一つひとつステップアップしていけたことが成功の秘訣ではないでしょうか」と語ります。

今後、株式会社すずまるでは開発した業務管理ツールをより使いやすく、さらに便利なものにしていくため、適宜見直しを図っていくといいます。現在は会社への帰属意識を持ってもらうため、スケジュール表を会社に取りに来てもらうスタイルにしていますが、将来的にはこの業務管理ツールへの入力や閲覧をモバイルでも実現することを考えています。「例えば、FileMaker Go を使えば、iPad などのタブレット端末を使って、外出先でも最新のスケジュールを確認できます。今後はこうした利便性を高める仕組みを積極的に取り入れていきたいですね」と須田氏は今後の展望を語りました。


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